2011年3月24日木曜日

福島原発の今後の可能性

結論としては
・再臨界の可能性は高くない
・チェルノブイリのようになる可能性は非常に低い
・しかし原発が被害をもたらすパターンはそれだけではない
です。但し私の物理学の知識は大学教養までですので、間違いも少なくないと思います。正確なことは分からないので、大雑把なことしか書いていません。

追記:一週間後読み返すと、違っていた部分も多々ありますが、恥晒しとしてそのままにしておきます。
原子炉が壊れて放射性物質濃度が濃い水が漏れた、とか騒いでいますが、そりゃあれだけ放水すれば水が漏れても不思議はないです。
漏れるのを覚悟で、それでも冷やさなければならないから水をかけていると思っていたのですが、まさか「漏れることはない」と思って水をかけていたのなら、その方が驚きです。

核燃料の性質
ほおっておいても原子が少しずつ核分裂して熱と中性子を出します。
その中性子がまだ分裂していない原子に当たると核分裂を引き起こします。
だから、燃料がたくさんあると、分裂で生じた中性子が他の原子を分裂させ、そこで生じた中性子が次の原子を分裂させるというサイクルが生じます。これが臨界です。
中性子を吸収する物質が燃料の近くにあると、サイクルが遅くなりますし、そのような物質が沢山あるとサイクルが止まります。これが制御棒です。水も中性子のエネルギーを奪います。
まとめると
・燃料が少しだけあると、少しずつ核分裂して熱と中性子を出す。
・燃料が沢山あると、核分裂の連鎖反応が発生して臨界になる。
・連鎖反応を止めるには、中性子を吸収する制御棒を使う
ということになります。

原子炉の役割
方式がいろいろありますが、共通することは
・臨界状態の燃料棒が出す熱を使ってタービンを回して発電します。
・その際に生じる中性子や放射性物質を外に出さないようにしつつ冷やす必要があります。

使用済み燃料棒
使用済みといっても原子がすべて分裂したわけではなく、殆どが分裂して、もうあまり分裂しなくなった、というだけです。ガソリンが空っぽになった状態とは違います。
原子炉の中から取り出しますが、中性子を飛ばしたり、臨界になったりしないように、制御棒と同じ物質で挟んで取り出します。
ほおっておいても少しは分裂して熱を出すので1年以上水につけて冷やしておく必要があります。

福島の現状(3月24日)
原子炉内の燃料棒には制御棒が入っていてそのままでは臨界にはなりません。使用済み燃料プール内の燃料棒も同様です。
但し、臨界でなくても熱は出るし冷却系が止まっているので温度がどんどん上がります。上がりすぎればその熱で水素爆発、水蒸気爆発などが起こります。
爆発と言ってもこれは熱により水などの体積がふえることによる爆発であり、核爆発とは違います。核爆発は臨界のさらに一歩先で、核分裂サイクルが短期間に指数的に増えることによります。
体積が増えることによる爆発ですので、付近に放射性物質を大量にまき散らします。 爆発前に空気中に逃がせば爆発にはなりませんが、付近に放射性物質を少しずつまき散らします

再臨界になるか
燃料棒は、スーパーのレジの10円玉の束のように、薄い円盤形のものを棒状に束ねています。
充分に冷却できないと、束ねる部分が融けて10円玉がばらばらになります。
それが底に沢山溜まると臨界になり得ますが、JCOのような高濃度ではないので臨界の条件を満たすようにきちんと一か所に集まる可能性は高くないです。
むしろ、これまでの水素爆発で燃料棒が散っている可能性の方が高いと思います。

原子炉は破損しているか?
原子炉内の燃料棒には制御棒が入っているので、燃料プール内の燃料棒と同じ状態です。
燃料プールは原子炉のようにしっかり作られていないので、現時点の放射能漏れという視点では原子炉が破損しているかどうかより、原子炉に入っていないプール内の燃料棒の方が問題です。
また、たとえ現在は破損していなくても冷却系が止まったまま原子炉内で臨界になれば、水蒸気圧で原子炉が破損するか、破損しないように水蒸気を外部に放出するか、のどちらかですから、どっちにしろ放射性物質を防ぐ役には立ちません。
つまり、今現在原子炉が破損しているかどうかはほとんど意味ありません。
修正原子炉内にこれまで溜まった放射性物質が流出しないように、という意味では、破損していない方が良いです。とはいえ、冷却できなければ放出せざるを得ないのですから、破損していなくても大差ないとも言えます。

チェルノブイリのようになるか?
これまでも、大規模な事故はそれぞれ違います。同じ大事故を何度も繰り返すほど人類は馬鹿ではありません。
チェルノブイリとは原子炉の型が違いますし、チェルノブイリ事故は臨界運転中、福島は既に水素爆発も起こしてボロボロですから、同じ状態にはなり得ません。
チェルノブイリと同じ状態にはなりませんが、チェルノブイリより周辺人口が多いので、チェルノブイリより人的被害が大きくなる可能性はあります。
その意味で、チェルノブイリと同じ状態になるか?という質問も意味がありません。

最悪の可能性は?
臨界状態になれば放射線がさらに強くなり、今以上に近づけなくなります。
熱で足元を溶かして、地下の水に触れて水蒸気爆発して燃料が四散するかもしれませんが、そうなれば燃料がばらけて臨界でなくなります。
仮に悪意を持って破壊的な方向に導こうとしても、燃料の量、質的にそれ以上ひどい状態には持ち込めません。

どうすれば良いか?
冷やすしかありません。理想を言えば、冷やした水、水蒸気が拡散しないように。
今はそれは無理なので水をかけて冷やし、落ち着いてから原子炉のように放射能を含む水が外に漏れない冷却装置に入れられたら完了です。
あんな水素爆発して、建屋内の冷却装置が壊れていないとは思えないのですが…

2011年3月17日木曜日

地震に関する記事のメモ

随時追加する予定です。twitterに書くだけになるかも知れませんが。
ドル円史上最安値~円不足が深刻化
原発学者たちの良心を疑う - 純丘曜彰